藝祭や五美大展を訪れているとやたらシーラカンスが多かったり、アロワナが多かったり、ゾウガメが多かったりと同一モチーフが複数重なる年がある。何か授業でその刺激となる映像に多くの学生が触れたりするからなのか。今年は例年よりも蟲をモチーフにした作品が多い気がする。
日本画専攻1年生の横野多聞さんの作品「Grateful dead」。今後3年間の作品も楽しみだ。
蛇の生がどれだけの蟲の生の上に成り立っていることか。白一色で描かれた蟲が美しい。
無数に書き込まれた蟲の輪郭が遠目には背景のざらつきにしか見えなくなる。
蛇の骨と蟲。
こちらは迫力あるノコギリクワガタの仰角図。
この鉤爪がとてもクワガタらしさが現れていて好み。
灯火採集の様を日本画にした逸品は小崎拓郎さんの「果たして真実か」。オオミズアオやクスサンの配置を練りに練っているのだと思う。
小さい蛾にも愛情が向けられているように思う。
無数の蚕蛾が笛に操られて飛んでいる。弓月さんの「糸笛」。
実際には蚕蛾は飛翔能力は失っていて羽ばたくことしかできない。どのような含意があるのだろうか。
壁紙にしたくなるような儚い蚕蛾の連続。
私が大金持ちだったらこの人たちに冬虫夏草をテーマに制作依頼して競演を楽しみたい。なんで自分は金持ちではないのだろう。