ひたすら青梅街道を西に自転車を漕いでいたら新しくできた洗練されたカフェ「WOODBERRY COFFEE ROAST ERY」を見つけてふらりと入った。吉祥寺でランチを取る予定が狂った。
1階は注文カウンター、テイクアウトの待ち席、奥には教室も開いているという焙煎室。
2階が主客席で2人掛け、4人掛け、相席の長テーブルが並んでいる。吹き抜けの大窓に面した2人掛け席は常に満席のように見える。
3階にも落ち着いた3人掛けのローテーブルが2つ。目の前にはレコードプレーヤーと3段の棚に目一杯収納されたLP。音楽を聴きながらリラックスするなら3階が良い。
さらに4階もあって、これは屋上なのだが荻窪の街並みを一望して風を感じながら食事を楽しめる。
内装も鉄骨剥き出しでもお洒落になるものだな。取り敢えずマットグレイで塗れば存在感を消せるという。
3階は実はバーカウンターになっていてカウンター席が5つ並ぶ。残念ながら東京都の緊急事態宣言下にあっては酒類の提供は停止していて半年前に開店して以来、ほとんどバーとしては使えていないという。
もちろん、拘りの焙煎豆が売りの珈琲屋なので単に酒を出すわけではない。メニューが基本的に全て珈琲をアレンジした珈琲カクテルなのだという。
珈琲リキュール、珈琲カクテルがいま湧きつつある流行だと感じた。
高円寺のMOWE COFFEE ROASTERSでも珈琲のカクテルを出すそうで、珈琲とジンが合うという。(緊急事態宣言下で自粛中)
肝心な珈琲だが、隙のない美味しさ。エチオピアの豆だそうだ。ブルーベリーのような果実香を感じられる珈琲だと説明していただいたが、確かに軽やかで甘みの感じる香り。印象を残さんが為のような酸味や渋味が突出した味ではなく、バランスが取れて飲む際に思わず目を閉じてしまう味。
ちなみに後で高円寺のカフェのバリスタにWOODBERRYに行った話をしたら、ここのバリスタは大会にも出ていて知られた人なのだという。大会に出続ける人がいる店は常に研鑽を積んでいて新しい手法の探究も含めて面白いと言っていた。
都内に用賀、渋谷、代官山と計4店舗あるそうなのだが、2店では食事は出していないそうだ。ここ荻窪は新旗艦店という位置付けで食事提供もバー営業もしている総合百貨店のような店だ。
レモンの効いたチキングリル。お米は硬く炊かれており、食感が良かった。拘りの珈琲とセットで1700円ほどなので安くはないが、この雰囲気の中で寛ぎ、本格拘り珈琲を飲めるならばアリ。
珈琲カクテルの世界の広がりが大変、興味がある。美味しいのだろうか。
このような規模のお店がないのは高円寺の寂しいところ。南口の雑居ビルが乱立するエリアで古着屋の代わりに全フロア珈琲がらみのお店でもできてくれたら嬉しい。
思ったのだが、WOODBERRYの店舗構成は中目黒にできたSTARBUCKS RESERVE ROASTERYととても似ていると思った。純粋に珈琲を飲むフロア、紅茶専門のTEAVANAのフロア、バーのフロア、教室も開かれる客席フロア。フードはクロワッサンにズッキーニや人参を挟んだサンドイッチが700円などとかなり高め。お腹を満たす量を食べ飲物を頼むと2000〜2500円はかかる。
たった4店舗のローカルチェーンが似た構成の複合施設を作れてしまい、かつ大会に参加しているようなバリスタと珈琲談義もできてしまう。料理もSTARBACKS RESERVEより安いとなると正直、STARBACKS RESERVEに行く強い理由はない。土地人件費が高いからなんて企業側の説明は客には関係ないからな。
やはり日本でSTARBACKS RESERVE ROASTERYが成功するのは難しいだろうと感じた今日このごろ。